はじめに:なぜ「悪質な転職エージェント」が問題になるのか?

初めての転職活動や、キャリアに悩みを抱えながらの転職では、多くの方が「プロのサポートを受けたい」と考え、転職エージェントを利用します。信頼できるエージェントに出会えれば、企業選びから応募書類の添削、面接対策、年収交渉に至るまで、非常に心強い存在になってくれるでしょう。
しかし、その一方で、「悪質な転職エージェント」や「信頼できない担当者」に出会ってしまい、かえって転職活動がうまくいかなかったり、望まない職場に入社してしまうケースも少なくありません。
転職初心者がハマりやすい落とし穴
特に20代~30代前半の若手は、社会人経験や転職経験がまだ浅いため、以下のような落とし穴に気づかずに進んでしまうことがあります。
- エージェントの言うままに応募・面接を進めてしまう
- 「今がチャンス」「早く決めた方が良い」という言葉に焦らされる
- 条件や社風に不安があっても聞きづらいと感じてしまう
- 担当者に違和感を持っても「こんなものか」と我慢してしまう
このように、自分に合っていない求人や企業を強引にすすめられても、それが「普通の転職活動」だと誤解し、そのまま進んでしまうリスクがあります。
悪質エージェントによる被害事例(簡潔に)
実際に、悪質な転職エージェントや担当者によって以下のようなトラブルが発生しています。
- 希望とまったく異なる業界・職種を紹介され続けた
- 応募に同意していない企業へ勝手にエントリーされていた
- 「内定が出たから辞退はできない」と強引に入社を勧められた
- 質問をしても曖昧な回答、対応も遅く不誠実だった
このような経験をした人の多くが、「転職を焦っていた自分にも非があるかもしれない」と自分を責めてしまう傾向にあります。しかし、そもそも信頼関係の築けない相手にキャリアの重要な選択を委ねるべきではありません。
悪質な転職エージェントの特徴5選

転職エージェントは、本来あなたのキャリアをサポートしてくれる頼れるパートナーです。しかし、残念ながら全てのエージェントが誠実に対応してくれるとは限りません。中には「自分のノルマ」や「紹介実績」ばかりを優先し、求職者の意向を無視した対応をする“悪質なエージェント”も存在します。
ここでは、特に注意したい5つの特徴を紹介します。
1. やたら内定を急かしてくる
「この企業はすぐに決断しないと他の人に決まってしまいますよ」「今決めればすぐに入社できます」と、強引に内定承諾を迫ってくるエージェントには要注意です。
確かにスピード感は大切ですが、本当に求職者のためを思っているエージェントであれば、「あなたの不安点を解消したうえで判断してほしい」と、じっくり話を聞いてくれるはずです。強い圧力で決断を急かす姿勢は、あなたの意思より自分の実績を優先している証拠です。
2. 希望と合わない求人ばかり紹介する
「営業は希望していないのに営業職ばかり紹介される」「勤務地は都内希望なのに地方求人をすすめられる」など、自分の条件に合っていない求人ばかりを出してくる場合も要注意です。
ヒアリングをしたにもかかわらずミスマッチが続く場合、エージェント側が「紹介しやすい企業」「内定が出やすい職種」を優先している可能性があります。あなたのキャリアや希望に向き合っていない証拠です。
3. 応募の同意なしに勝手に企業へエントリーされる
転職エージェントは、応募者の同意を得たうえで企業にエントリーするのが原則です。しかし、中には「勝手に応募されていた」「連絡もなく面接日程が決まっていた」というケースもあります。
これは重大な信頼違反であり、個人情報やキャリアに関わる重要な判断を勝手に行っている証拠です。このような行動をとるエージェントはすぐに利用をやめるべきです。
4. 面談で不快な対応や高圧的な態度
面談中に高圧的な態度を取ったり、上から目線で説教をしてくる担当者もいます。特に若手の場合、「社会を分かっていない」といった論調で押し切られやすい傾向があります。
もちろんプロとして厳しい意見をくれることもありますが、「不快に感じる」「話を聞いてくれない」と感じるなら、そのエージェントとの信頼関係は築けません。無理に付き合い続ける必要はありません。
5. 口コミや評判が著しく悪い
ネット上の口コミやSNSでの評判も、ある程度の判断材料になります。もちろん一部の声に偏りすぎる必要はありませんが、特定のエージェントや企業に対して「強引すぎる」「態度が悪い」「内定辞退させてもらえない」などのネガティブな声が多く見られる場合は、慎重になるべきです。
Googleマップのレビュー、転職掲示板、X(旧Twitter)など、複数の情報源から傾向を確認することをおすすめします。
このような特徴が1つでも当てはまる場合、その転職エージェントはあなたの味方ではない可能性があります。大切なのは、「違和感を見過ごさないこと」。次の章では、悪質エージェントや担当者を見抜くための具体的なチェックポイントを解説していきます。
こんな担当者に要注意!悪質エージェントの見抜き方

転職エージェントの善し悪しは、会社全体というより「担当者の質」によって大きく変わります。たとえ大手のエージェントでも、担当者によっては満足のいくサポートが受けられない場合があります。
ここでは、初回面談や日々のやりとりから“悪質な担当者”を見抜く方法について解説します。
初回面談でのチェックポイント
エージェントとの初回面談は、信頼できるかどうかを見極める重要な機会です。以下のような点に注意して観察しましょう。
- こちらの話をしっかり「聞こう」としているか?
→ 一方的に話すだけで、希望条件や悩みを聞いてくれない場合は要注意です。 - キャリアの背景や価値観に興味を持ってくれているか?
→ 表面的な経歴だけを見て、機械的に求人を出してくる担当者は信頼できません。 - 求人紹介のタイミングが早すぎないか?
→ 面談開始から数分で求人を紹介してくる場合、あなたの希望より「紹介ノルマ」を優先している可能性があります。 - 否定的・高圧的な物言いをしてこないか?
→ 「その考え方は甘いですね」といった頭ごなしの否定は、今後のやりとりに不安が残ります。
メール・電話対応から分かること
担当者の誠実さは、日々のやり取りにも表れます。以下の点を意識してやり取りを振り返ってみましょう。
- 返信が極端に遅い or 常に遅れてくる
→ 忙しさではなく「後回しにされている」可能性があります。こちらの優先度が低いと見られているかもしれません。 - 質問への答えが曖昧で具体性がない
→ 「それは企業に確認してみます」と言いながらそのまま放置される場合、誠実な対応とは言えません。 - 電話での態度がぞんざい・威圧的
→ 声のトーンや言葉遣いが雑だと感じた場合、その後も丁寧なサポートを期待するのは難しいでしょう。 - こちらの都合や状況を考慮せず一方的に予定を組もうとする
→ スケジュール調整などの基本的な配慮がない担当者は、他の場面でもトラブルを起こしやすい傾向があります。
担当変更をお願いすべきタイミング
「違和感はあるけれど、我慢して付き合うしかないのかな…」と思っていませんか? そんなことはありません。転職エージェントの多くは、担当者の変更を希望することが可能です。以下のような場合は、遠慮せず変更を申し出ましょう。
- 初回面談で不信感を持ったまま改善の兆しがない
- 質問や要望への反応が常に遅く、不誠実さを感じる
- 自分の希望を無視した求人ばかり紹介される
- 言葉遣いや態度にストレスを感じる
- 「この人と話すのがしんどい」と思う瞬間が増えてきた
担当者の変更は、メールや問い合わせフォームから簡単に依頼できます。「より自分に合った担当者と話したい」という趣旨で伝えれば、角が立つこともありません。
転職は人生の大きな選択です。あなたの未来を左右するパートナー選びに妥協は不要です。次章では、もし悪質なエージェントに当たってしまった場合の具体的な対処法をご紹介します。
悪質エージェントに当たってしまった場合の対処法

転職活動中に「この担当者は合わないな…」と感じたり、明らかに悪質な対応を受けた場合、そのまま我慢して付き合い続ける必要はありません。むしろ、違和感を感じた段階で早めに行動することが、納得のいく転職につながります。
ここでは、悪質なエージェントに当たってしまったときに取るべき対処法を紹介します。
担当者の変更を申し出る
まず試したいのは、同じエージェント会社内で担当者を変更してもらうことです。実は、多くの転職エージェントでは「担当変更」は比較的よくあることで、利用者からの申し出に対して柔軟に対応してくれるケースがほとんどです。
変更を依頼する際のポイント:
- 「相性が合わなかった」などの柔らかい表現を使う
- 問い合わせフォーム・メールで冷静に伝える
- 企業名や個人名の批判は避け、あくまで自分の希望として伝える
例:
「担当者の方とやり取りを進めてみましたが、私の希望や考え方と少しズレがあるように感じました。今後の活動をよりスムーズに進めたいと考えており、もし可能であれば担当変更をご相談できればと思います。」
対応がスムーズであれば、そのエージェント自体は信頼できる可能性があります。
別のエージェントに切り替える
担当者を変えても状況が改善しない、または会社全体の対応に不信感がある場合は、他の転職エージェントに切り替えるのが最も安全な選択肢です。
転職活動において、複数のエージェントに登録しておくことは一般的ですし、複数比較することで「自分に合うエージェント」が見つかりやすくなります。
複数登録しておくメリット
- 対応の良し悪しが比較できる
- それぞれ得意な業界・職種が異なる
- 相性の良い担当者に出会いやすくなる
今なら、弊社提携先よりエージェントをご紹介できます。多数の転職エージェントが登録されており、最適なエージェントを見つけられます。
トラブルがひどい場合の通報先や相談窓口
エージェントが守るべき倫理やルールを明らかに逸脱している場合(同意なしの応募、個人情報の漏洩、脅迫的な対応など)、然るべき機関への相談や通報も視野に入れましょう。
相談・通報できる主な窓口:
- 厚生労働省「職業安定局」
→ 有料職業紹介事業を監督する行政機関。悪質な業者の取り締まりも担う。
参考:https://www.mhlw.go.jp/ - 都道府県の労働局・職業安定部
→ 地域ごとの相談窓口が設置されており、具体的なトラブルについて相談可能。 - 全国求人情報協会や業界団体への報告
→ 認定事業者であれば、団体への苦情申し立ても検討できます。 - 消費生活センター
→ あまりに悪質な勧誘や契約トラブルがあれば、消費者としての立場から相談可能です。
エージェントを利用するうえで最も大切なのは、「あなたのキャリアと気持ちを大切にしてくれる相手を選ぶこと」です。信頼できない相手に将来を委ねる必要はありません。自分を守るためにも、違和感や不安は見逃さず、適切に対処していきましょう。
信頼できる転職エージェントの選び方

転職エージェントを使いこなすうえで最も大切なのは、「信頼できるパートナーを選ぶこと」です。同じ会社でも担当者によって対応が違うことはよくありますが、最初の選び方を間違えなければ、転職活動を大きく前進させることができます。
ここでは、信頼できる転職エージェントを見極めるポイントを具体的に紹介します。
複数登録して比較することの重要性
まず何より大切なのは、最初から1社だけに絞らないことです。
エージェントはサービス内容も担当者の質もそれぞれ異なるため、最初の段階で複数のエージェントに登録して比較するのが鉄則です。
複数登録のメリット
- 担当者の対応を比較できる
- エージェントごとの「非公開求人」にアクセスできる
- 自分と相性の良いエージェントを見極められる
- 情報収集力が高まり、判断の精度が上がる
特に20代〜30代前半の若手は、まだ自分の市場価値やキャリアの方向性が明確でないことも多く、複数の視点からアドバイスを受けることで視野が広がります。
口コミ・実績・サポート体制を見るべきポイント
信頼できるエージェントを選ぶ際には、以下の3つのポイントをチェックしましょう。
① 口コミや評判
GoogleマップやSNS、口コミサイトなどで「実際の利用者の声」を確認しましょう。
特に注目すべきなのは:
- 担当者の対応が丁寧だったか
- 無理な応募をすすめられなかったか
- アフターサポート(内定後フォロー)があったか
悪い口コミばかりのエージェントは、やはり避けた方が無難です。
② 紹介実績や得意な年代・業界
エージェントにはそれぞれ得意分野があります。自分の年齢・希望業種とマッチしているかを事前に確認しましょう。
- 「20代の支援実績が豊富」
- 「第二新卒の転職に強い」
- 「未経験業界へのキャリアチェンジ支援に定評」
など、自分の立場に合った強みを持つエージェントを選ぶのがポイントです。
③ サポート体制
求人紹介だけでなく、書類添削・面接対策・退職交渉なども丁寧に行ってくれるかどうかは重要です。ホームページや口コミ、面談時の説明でサポート内容を確認しましょう。
とは言っても多すぎて選べない!という場合、弊社提携先よりエージェントをご紹介できます。多数の転職エージェントが登録されており、最適なエージェントを見つけられます。
転職活動は「人と情報との出会い」が成否を左右します。最初の一歩で信頼できるエージェントとつながることで、将来のキャリアが大きく変わる可能性もあります。だからこそ、エージェント選びには時間をかけて慎重に行いましょう。
20代〜30代前半が転職で後悔しないためにできること

転職は人生の方向性を見直す大きなターニングポイント。だからこそ、焦って決めてしまったり、他人任せにしてしまうと「思っていたのと違った」と後悔するリスクが高まります。
特に20代〜30代前半の若手は、キャリアの基礎を築く大切な時期。ここでの選択が今後10年、20年に影響することもあるため、主体的な準備と姿勢が欠かせません。
以下では、転職で後悔しないために今からできることを3つの観点から紹介します。
自己分析とキャリアの棚卸し
まず最初に取り組むべきは、自分のこれまでの経験や価値観を見つめ直す「自己分析」と「キャリアの棚卸し」です。
なぜ必要?
転職エージェントに相談する際も、企業との面接でも、自分の「軸」が明確になっていないと的確なアドバイスやマッチングは受けられません。
やるべきこと
- 今まで経験してきた業務・役割・成果を書き出す
- 働いていて楽しかったこと・つらかったことを振り返る
- 自分が「何を大切に働きたいのか(価値観)」を明文化する
- 将来どんなライフスタイルや働き方を実現したいかを想像する
「やりたいことがわからない」と感じる場合も、過去の経験を丁寧に掘り起こすことで、ヒントが見つかるはずです。
転職活動のスケジュールと心構え
転職は長期戦になることもあります。理想の職場に出会うには、「良い求人が出るまで待つ」「複数面接を受けて見極める」など、ある程度の余裕と戦略が必要です。
スケジュール感の目安
- 自己分析・準備:1〜2週間
- 情報収集・エージェント面談:1〜2週間
- 書類応募〜面接〜内定:1〜2ヶ月
- 退職手続き・入社準備:1ヶ月程度
特に在職中の転職活動では、無理なく進められるスケジューリングが重要です。疲弊して判断が鈍ると、妥協転職やミスマッチに繋がる恐れがあります。
心構えとして持っておきたいこと
- 転職は「合う場所を探す」作業であり、落ち込む必要はない
- 「受かるかどうか」より「自分に合っているかどうか」が大事
- 不採用でも自己否定しない。次への改善材料として受け止める
エージェントを「使いこなす」意識を持つ
転職エージェントはあくまで“サポート役”であり、主役はあなた自身です。エージェントに任せきりにせず、「自分のために利用する」意識を持ちましょう。
使いこなすためのポイント:
- 希望条件やNG項目を明確に伝える(曖昧にしない)
- 疑問や不安はその都度しっかり質問する
- 担当者との相性が悪いと感じたら、早めに変更や他社への切り替えを検討する
- 求人を「紹介されたから受ける」のではなく、「自分で選ぶ」姿勢を持つ
複数のエージェントを比較しながら、自分にとって信頼できるパートナーを見極めていくことが、成功する転職の鍵です。
転職を「成功」と感じられるかどうかは、どれだけ自分の意思で動けたかに大きく左右されます。後悔のない選択をするために、準備と自分自身の軸作りを怠らないことが何よりも大切です。
まとめ:信頼できる味方を見つけて、納得のいく転職をしよう

転職は、ただ「職場を変える」だけでなく、「これからの自分の人生をどう生きたいか」を考える大きなチャンスです。その重要な場面で、信頼できる転職エージェントと出会えるかどうかは、成功と後悔の分かれ道になります。
本記事では、悪質なエージェントの見分け方や対処法、信頼できるエージェントの選び方、そして若手世代が後悔しないための準備について紹介してきました。
特に20代〜30代前半の若手は、キャリアの方向性に迷いが生じやすい時期でもあります。だからこそ、情報に流されるのではなく、「自分で考え、納得して選ぶ」という姿勢を持つことが何より大切です。
最後に伝えたいこと
- 「転職=成功」ではなく、「納得できる選択=成功」です。
- 良いエージェントは、あなたの未来を一緒に考えてくれる“味方”です。
- 違和感や不信感を抱いたら我慢せず、環境を変える勇気を持ちましょう。
- 自分の軸を持ち、主体的に動けば、きっと理想に近づくことができます。
転職はゴールではなく、新たなスタートです。焦らず、他人任せにせず、あなたらしいキャリアを築くための一歩を踏み出してください。そしてその一歩を、信頼できるパートナーとともに進めることを、心から願っています。